小説・随筆№43 黒部の山賊
表裏装画はあの
畦地梅太郎氏(表:「山の音」1967、裏:黒部五郎岳の熊」1955)
扉にはこの書籍(旧版)のために製作されたという「山の釣り人(1964)も参考掲載されている。
相変わらず人を惹きつける興味深い版画だ。
三俣蓮華小屋(現:三俣山荘)・水晶小屋を譲り受け、湯俣山荘・雲ノ平山荘を建設し、雲ノ平への最短ルート「伊藤新道(現在は一般登山道としては使われていない)」を独力で完成させ、日本勤労者山岳連盟の創設者である伊藤正一氏の随筆集。
黒部の秘境で繰り広げられる様々な出来事・・・どれも面白過ぎてどんどん読み進めてしまう。
凶悪な悪行で恐れらている山賊の正体とは?。今まで
書籍で読んだ日本近代山岳界の先駆け的偉人たちも沢山出てくるし、俄かには信じがたい山で起こる不思議な
オカルト現象、過去の遭難の真相まで多彩な題材が読む者を飽きさせない。
あれこれ書いてしまうとネタバレになるのでいくつかのキーワードを抜粋。りょうる、星勇九郎は大山師なのか?、アルプス山中に隠されたと噂される佐々成政の埋蔵金「48個の金壷」、ポンコツ、山で「オーイ」と呼ばれたら「ヤッホー」と返事しないと・・・、白骨、カベッケが原、カッパ、狸の擬音「一、九、十七かえらずの二十五日」・・・~etc。
厳しい中に古き良き時代を感じさせてくれる。
山ヤには是非読んでもらいたい猛烈にお勧めの1冊。
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【目次】
■山賊たちとの出合い
・山賊の舞台・黒部の源流
・そのころの世相
・山に山賊がいるという
・慎重にすすむ
・自分の小屋に宿料を払う
・山賊対策会議
・山賊たちの正体
■山賊との奇妙な生活
・山賊一味と暮らす
・山賊事件の真相
・山賊たちの熊狩り
・山賊と岩魚
・アルプスのキティ台風
■埋蔵金に憑かれた男たち―別派の山賊
・星勇九郎の大金鉱
・ほんとうにあるのか山中の埋蔵金
■山のバケモノたち
・道しるべになった水晶岳の白骨
・カベッケの不思議な呼び声
・バケモノに呼ばれた人たち
・人を呼ぶ白骨
・神がくし?
・洞穴の怪
・巧みな狸の擬音
・三本指の足跡
・カッパの正体
■山の遭難事件と登山者
・薬師岳の遭難
・不思議な遭難
・疑われた同行者
・非情な同行者
・四晩つづいた
遭難信号
・謎の手紙
・人事不省一週間の山上の病人
■山小屋生活あれこれ
・山ぼけ
・どうどうめぐり
・山小屋の費用
・アルプスへの空輸
・
熊と登山者
・
熊をならす
・山で育った犬
■その後の山賊たち
・黒四と山賊たち
・その後の山賊たち
補遺
遭難者のお礼参り いちばん不思議だった話
黒部源流グラフィティ
あとがき
定本刊行にあたって
寄稿
はるかなる黒部
高桑信一
そして現在の黒部源流部と雲ノ平へ
高橋庄太郎
山賊たちのプロフィール
遠山富士弥、遠山林平、鬼窪善一郎、倉繁勝太郎
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