「
登山の法律学」と同じ著者の山岳に纏わる法律解説書。
前著の様に実際の事故例から法的解釈を説明する書籍は多いが、本著は法学の観点から山岳で起こりうる様々な事例に対して解説がされており、総88ページと項数は少ないが一つ一つの内容は濃くてとても参考になる。特に「営造物責任」と「登山道の管理責任」の部分は少し意外で勉強になった。
また
上級救命講習で質問して回答されて以来ずっとモヤモヤしている「善きサマリア人法」(質問の意味が分からなかったらしく事務所へネット検索しに署員が走ったぐらい日本では周知されていない)については日本にはないので素人の救命行為による責任判断はやはり微妙だ。
法律の事を考えながら登山する山ヤは中々いない。
しかし万が一に備えて知識を得ておくのにお勧めの1冊。
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【目次】
01、総論
・
法律による紛争の解決
・
山岳事故の特性
・法的責任の種類
・登山の自由の原則とその例外
・注意義務の内容
・予見可能性
・民事責任と刑事責任
・引率登山と自主登山の区別
02、友人同士の登山
・友人間の法律関係
・山歩きとクライミング、沢登り
・ゲレンデでのクライミング
・人口壁でのクライミング
・登山の安全化と法的責任
・裁判例
(コラム) 登山の達成感とリスク
03、山岳会などでの登山
・山岳会におけるパーティの法律関係
・例外としての安全確保義務
・ハイキングクラブでの引率的登山
・公募登山
・裁判例
04、ツアー登山、ガイド登山
・ツアー登山、ガイド登山の意味
・ツアー登山、ガイド登山における民事責任と刑事責任
・注意義務の内容
・裁判例
(コラム) ツアー登山人気
05、登山講習会
・講習会における安全管理責任
・定着型の講習と移動型の講習
・登山教室
・裁判例
06、学校登山
・教師の安全確保義務
・学校登山のメリットとリスク
・裁判例
(コラム) 予見可能性とは何か?
07、
大学山岳部
・大学山岳部の活動の法的位置づけ
・大学山岳部の監督、コーチ、顧問
・裁判例
08、ボランティア活動中の事故
・ボランティア活動従事者の注意義務
・裁判例
09、職務中の事故
・職務上の注意義務
・裁判例
10、特別な関係がない者の間の事故
・他のパーティーに対する落石事故
・その他の事故
11、救助活動中の事故
・救助義務
・事務管理に基づく注意義務
・委任契約に基づく注意義務
・救助活動に伴う法的問題
・
よきサマリア人法
・裁判例
(コラム) 救助活動の専門性
12、危険性の承認、リスクの説明
・危険の引受法理
・登山における危険性の承認
・危険性の承認の範囲
・免責同意書
・リスクの説明
・裁判例
(コラム)
御嶽山噴火と法的責任
13、登山道の管理責任
・営造物責任と工作物責任
・登山道の形態と管理責任
・登山道における危険性の承認の範囲
・登山道の理念と管理
・裁判例
(コラム) 奥入瀬渓流事故判決の衝撃
14、法的責任への対処
・自主登山と引率登山の区別の明確化
・引率登山ではリスクを避ける
・安全確保義務の範囲と自己責任の範囲の明確化
・リスクの説明、免責同意書、賠償責任保険
・事故後の対応の重要性
参考文献 ※いつもは省くが読んだ書籍が多数記載されていたため記述
■山岳事故関係
「生と死の分岐点」 ビット、シューベルト 山と渓谷社
「続 生と死の分岐点」 ビット、シューベルト 山と渓谷社
「ビヨンド・リスク」 ニコラス・オコネル、 山と渓谷社
「ケルンに生きる」 藤木九三外 二玄社
「二人の登攀者」 円山雅也 朋文堂
「山岳遭難の教訓」 出海栄三 岳書房
「山岳遭難の死角」 出海栄三 岳書房
「
リーダーは何をしていたか」 本田勝一 朝日新聞社
「山で死なないために」 武田文男 朝日新聞社
「続 山で死なないために」 武田文男 朝日新聞社
「氷壁・ナイロンザイル事件の真実」 石岡繁雄 あるむ
「
山岳遭難の構図」 青山千彰 東京新聞出版局
「ドキュメント 気象遭難」 羽根田治 山と渓谷社
「
ドキュメント 滑落遭難」 羽根田治 山と渓谷社
「
ドキュメント 道迷い遭難」 羽根田治 山と渓谷社
「
ドキュメント 単独行遭難」 羽根田治 山と渓谷社
「
ドキュメント 雪崩遭難」 羽根田治 山と渓谷社
「
ドキュメント 山の突然死」 羽根田治 山と渓谷社
「生還 山岳遭難からの生還」 羽根田治 山と渓谷社
「
死者は還らず」 丸山直樹 山と渓谷社
「
レスキュー最前線」 長野県警察山岳救助隊 山と渓谷社
「山靴を履いたお巡りさん」 岐阜県警察山岳救助隊 山と渓谷社
「ザイルをかついだお巡りさん」 長野県警察山岳救助隊 山と渓谷社
「ピッケルを持ったお巡りさん」 富山県警察山岳救助隊 山と渓谷社
「
山の遭難」 羽根田治 平凡社
「
山岳救助隊日誌」 金邦夫 角川学芸出版
「山の遭難 生きた、還った」 永田秀樹(編) 東京新聞出版局
「山岳警備隊 出動せよ!」 富山県警察山岳救助隊 東京新聞出版局
「
翼を持ったお巡りさん」 谷口凱夫(編) 山と渓谷社
「
アルプス交番勤務を命ず」 谷口凱夫 山と渓谷社
「アルプス交番勤務からのメッセージ」 谷口凱夫 山と渓谷社
「山の軍曹 カールを駆ける」 木下寿男 山と渓谷社
「
遭難者を救助せよ」 細井勝 PHP研究所
「北アルプス 大日岳の事故と事件」 斉藤惇生 ナカニシヤ出版
「息子たちの死を無駄にしないで」 内藤悟 神戸新聞総合出版センター
「登山研修所の大学山岳部リーダー冬山研修会に係る安全検討会報告書」 文部科学省・大学山岳部リーダー冬山研修会に係る安全検討会
「
トムラウシ山 遭難はなぜ起きたのか」 羽根田治 山と渓谷社
「トムラウシ遭難事故を考えるシンポジウム報告書」 日本山岳サーチ&レスキュー研究機構
「トムラウシ山遭難事故調査報告書」 トムラウシ山遭難事故調査特別委員会
「判決の影響と今後の課題」(大日岳訴訟判決の解説) 溝手康史 山と渓谷900号所収
「ツアー登山の安全性を考える」 溝手康史 岳人747号所収
「登山リーダーのあり方」 溝手康史 岳人784号所収
「登山における危険性の認識」 溝手康史 日本山岳文化学会論集6号所収
「登山パーティーの携帯と安全性」 溝手康史 日本山岳文化学会論集10号所収
「マッターホルン登頂記」 ウィンパー 岩波文庫
「聖職の碑」 新田次郎 講談社文庫
「
八甲田山死の彷徨」 新田次郎 新潮社文庫
「
氷壁」 井上靖 新潮文庫
■法律関係
「スポーツの法律問題」 スポーツ問題研究会 民事法研究会
「スポーツのリスクマネジメント」 小笠原正 ぎょうせい
「スポーツ事故の法務」 日本弁護士連合会 創耕舎
「スポーツ基本法」 日本スポーツ学会 成文堂
「スポーツ法学」 小笠原正 不磨書房
「スポーツ法学入門」 千葉正士 体育施設出版
「スポーツの法律入門」 入澤充 山海堂
「少年スポーツ指導者の法律相談」 菅原哲朗 大修館書店
「スポーツにおける当事者関係に特質」 日本スポーツ法学会年報第1号
「スポーツにおける紛争と事故」 日本スポーツ法学会年報第2号
「スポーツにおける契約の諸問題」 日本スポーツ法学会年報第3号
「スポーツの権利性と文化性」 日本スポーツ法学会年報第4号
「スポーツ法の理念とスポーツ事故問題」 日本スポーツ法学会年報第5号
「スポーツにおける違法性阻却」 日本スポーツ法学会年報第6号
「旅行の法律学」 佐々木正人 日本評論社
「旅行をめぐる法律知識とQ&A」 三浦雅夫 法学書院
「旅行の法律問題」 高橋弘 「現代企業法講座4」所収 東京大学出版会
「改正旅行業法解説」 三浦雅生 自由国民社
「登山事故の法的責任」 辻次郎 判例タイムズ997号・998号
「ダイビングの事故・法的責任と問題」 中田誠 杏林書院
「新版・救急活動と法律問題・上巻」 丸山富夫 東京法令出版
「医療と法を考える」 樋口範雄 有斐閣
「続・医療と法を考える 樋口範雄 有斐閣
「
登山の法律学」 溝手康史 東京新聞出版局
「山の法律学」 溝手康史 東京新聞出版局発行「岳人」№679~726
「続・山の法律学」 溝手康史 東京新聞出版局発行「岳人」№763~798
「登山における法的責任」 溝手康史 日本旅行医学会学会誌第7号所収
「登山道の管理責任」 溝手康史 日本山岳文化学会論集8号所収
「ツアー登山の現状と問題点」 溝手康史 国民生活センター・月刊国民生活№36所収
「ルールのない危険なスポーツにおける危険の引受と民事上の注意義務」 溝手康史 広島弁護士会会報80号141頁
「リスク岳入門3 法律から見たリスク」 長谷部恭男 岩波書店
「現代法の展望」 田中成明 有斐閣
「パターナリズムの研究」 中村直美 成文堂
「現代社会とパターナリズム」 澤登俊雄 ゆみる出版
「私事と自己決定」 山田卓生 日本評論社
「自己決定論のゆくえ」 高橋隆雄 九州大学出版会
「ボランティア社会の誕生」 中山惇雄 三重大学出版会
「自然保護法」 畠山武道 北海道大学図書刊行会
「権利と価値」 淡路剛久 有斐閣
「国立公園の法と制度」 加藤峰夫 古今書院
「公物法の理論」 広岡隆 ミネルヴァ書房
「里道・水路・海浜」 賽金敏明 ぎょうせい
「土地所有権と現代」 篠塚昭次 NHKブックス
「所有権の誕生」 加藤雅信 三省堂
「人間の心と法」 加藤雅信 有斐閣
「森林の明日を考える」 日本弁護士連合会 有斐閣
「自由論」 J・S・ミル 岩波文庫
「リヴァイアサン」 ホッブズ 中央公論社
「日本人の法意識」 川島武宣 岩波新書
「組織事故」 ジェームズ・リーズン 日科技連
「ヒューマンエラーは裁けるか」 シドニー・デッガー 東京大学出版会
「O.J.シンプソンはなぜ無罪になったか」 四宮啓 現代人文社
「独立した事故調査機関の設立を求める消費者法ニュース別冊」 消費者法ニュース発行会議
「クライミングウォール事故と訴訟」(Climbing Wall Accidents and Litigation) 「責任の否認と放棄:概要」(DISCLAIMERS AND WAIVERS OF LIABILITY:A SUMMARY) Martin Wragg 日本山岳サーチアンドレスキュー研究機構のウェブサイト(
http://www.insar.j.org/)
■その他
「パッケージ観光論」 玉村和彦 同文館出版
「登山道の保全と管理」 渡辺悌二 古今書院
「信州山岳環境保全のあり方研究会 登山道問題報告書」 信州山岳環境保全のあり方研究会
「登山道の安全を考える」 信州大学山岳科学総合研究所編・発行
「登山道の復旧までの道程」 山と渓谷729号p176
「白馬大雪渓の落石事故から安全対策を考える」 小森次郎 岳人710号p147
「登山道を考える」 山と渓谷848号p187
「両神山 登山道閉鎖&廃止」 岳人728号p58
「丹沢 周辺林道の通行止め」 岳人728号p64
「登山道における自己責任」 金子博文 山と渓谷873号p92
「妙義山 整備か登山禁止か?」 打田鍈一・羽根田治 山と渓谷902号p162
「ヨーロッパアルプス 登山・ハイキング」 金原富士子 本の泉社
「国立公園は誰のものか」 木村英昭 彩流社
「白神山地の入山規制を考える」 井上孝夫 緑風出版
「日本の国立公園」 加藤則芳 岩波新書
「アメリカの国立公園」 上岡克己 築地書館
「イギリス国立公園の現状と未来」 畠山武道 北海道大学図書刊行会
「目的地は国立公園」 加藤峰夫 信山社
「イギリス 緑の庶民物語」 平松紘 明石書店
「ドイツ林業と日本の森林」 岸修司 築地書簡
「再生する国立公園 瀬他信哉 清水弘文堂書房
「北アルプスこの一〇〇年」 菊地俊朗 文春新書
「山の社会学」 菊地俊朗 文春新書
「
登山の文化史」 桑原武夫 平凡社
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