大衆化したツアーによるリスクについて詳しく解説。
一口に「旅行」と言っても日本人については12の形態に区分することができるという。
①業務出張旅行②個人観光旅行③新婚旅行・家族旅行④修学旅行⑤職場旅行⑥招待旅行⑦報奨旅行⑧仲間・親睦旅行⑨永年勤続旅行⑩組織内募集旅行(地域密着型)⑪組織内募集旅行(広域・全国募集型)⑫パッケージ・ツアー・メディア募集旅行
また、「マス・ツーリズム」にも5つの分類があるという。
①願望の実現度が大きく、客の数は少ない(10人以下)
e.g.・・・宇宙旅行、エベレスト営業登山(商業公募登山隊)、アマゾン奥地への旅
②願望の実現度が大きく、客の数は中くらい
e.g.・・・南極クルーズ、大手旅行会社による高品質のブランド・パッケージツアー
③願望の実現度が大きく、なおかつ客の数も多い
e.g.・・・ラスベガスの高級巨大ホテル
④願望の実現度は中くらいで、客の数が多い
e.g.・・・スタンダードなパッケージツアー、新聞募集ツアー
⑤願望の実現度は小さいが、客の数は多い
e.g.・・・ルーブル美術館、パリのノートルダム寺院、旭山動物園
今では金さえ払えば登山家でもない素人でもエベレストに登らせてくれる。
「ツアー登山での遭難死」の章では記憶に新しい
トムラウシ大量遭難と主催した
アミューズトラベル(2012/12廃業)について書かれており改めて興味深く読めた。
どんなツアーでも危険が潜んでいることを再考させてくれる1冊。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
楽天ブックスはこちら↓
【目次】
第一章 マス・ツーリズムとは何か
大衆化する旅行 一九世紀半ば、トマス・クックからの始まり
クックによるマス・ツーリズムの広がり/マス・ツーリズム成立の原理/五種類のマス・ツーリズム
第二章 一九九六年五月 エベレスト商業公募登山隊の悲劇
商業公募登山隊とは何か/旅行形態の区分/二つの商業公募登山隊
参加者が映し出すマス・ツーリズムの実相/判断ミスはいかに起きたか
第三章
ツアー登山での遭難死
ツアー登山とは何か/
トムラウシ山遭難事故の経過
なぜ遭難事故は起きたか/マス・ツーリズムとしてのツアー登山/ツアー登山は可能か
第四章 危険をはらむマス・ツーリズム
日本人観光客はなぜグアテマラで撲殺されたか
未開の地への旅 SITの極致/南極遊覧飛行機事故の衝撃
南極旅行はいかに成立するか/南極旅行、不可能性への挑戦
第五章 マス・ツーリズムの脅威
マス・ツーリズムが招く観光公害 石見銀山・大森地区の場合
観光公害をどう解消するか 岐阜県白川村の場合
エコツーリズムの誕生/屋久島縄文杉に迫る危機
第六章 マス・ツーリズムの誘惑 その魅力はいかに生まれるか
「近代のいま」 マス・ツーリズムの発生
「おわら風の盆」の旅行商品化 疑似現実という視点から
東北三大祭りと「盛岡さんさ踊り」、「杜の賑い」
第七章 ツアー事故は減らせるのか
進む安全対策/願望の抑制、もしくはツーリズムの多様化
観光形態の多様化/マス・ツーリズムの良質化
あなたにおススメの記事