ドキュメント№9 空と山のあいだ

KG少佐

2011年04月14日 19:28

タイトル:空と山のあいだ -岩木山遭難・大館鳳鳴高生の五日間-
著者:田澤 拓也
出版社:TBSブリタニカ(現:阪急コミュニケーションズ)(1999)
個人的お勧め度★★★★☆

昭和39年1月に青森・岩木山で秋田県大館鳳鳴高校山岳部員5人が遭難し4人が死亡した。
家族や捜索者たちの描写も織り交ぜながら、生存者の証言を元に遭難の経緯を綴ったもの。

標高1625mで独立峰。普通に考えたら雪山とはいえ遭難とは縁遠いと思われる。
しかし全員冬山未経験で装備不足、山頂の石室で停滞しなかった判断ミス、「独立峰で道に迷ったら風を背にして下りろ」という鉄則を元にされた「思い込み」捜索とは裏腹に方向を失い正反対側に下山していた一行、青森側と秋田側の下山口管轄の違い、「八甲田山 死の彷徨」でも分かる東北の冬の厳しさ、など。

昔と違い今ではGPSという便利なものがあるのでホワイトアウトしても何とかなるが・・・
条件の違いや思い込みが無ければもっと助かったかもしれない。

上級生が下級生をかばうような姿で発見された2人の遺体の場面は、漫画「」2巻の第1歩「クライマー」を思い出させた(ひょっとしてネタ元?)

文章は事実を淡々と綴っており、今まで読んだドキュメント物と比べて手に汗握るような描写はない。
どんな山でも一つ間違えば遭難する事を教えてくれる1冊。一気に読める。


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角川文庫(2003)    TBSブリタニカ(現:阪急コミュニケーションズ)(1999)

 




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