ドキュメント№9 空と山のあいだ
昭和39年1月に青森・岩木山で秋田県大館鳳鳴高校山岳部員5人が遭難し4人が死亡した。
家族や捜索者たちの描写も織り交ぜながら、生存者の証言を元に遭難の経緯を綴ったもの。
標高1625mで独立峰。普通に考えたら雪山とはいえ遭難とは縁遠いと思われる。
しかし全員冬山未経験で装備不足、山頂の石室で停滞しなかった判断ミス、「独立峰で道に迷ったら風を背にして下りろ」という鉄則を元にされた「思い込み」捜索とは裏腹に方向を失い正反対側に下山していた一行、青森側と秋田側の下山口管轄の違い、「
八甲田山 死の彷徨」でも分かる東北の冬の厳しさ、など。
昔と違い今では
GPSという便利なものがあるので
ホワイトアウトしても何とかなるが・・・
条件の違いや思い込みが無ければもっと助かったかもしれない。
上級生が下級生をかばうような姿で発見された2人の遺体の場面は、漫画「
岳」2巻の第1歩「クライマー」を思い出させた(ひょっとしてネタ元?)
文章は事実を淡々と綴っており、今まで読んだ
ドキュメント物と比べて手に汗握るような描写はない。
どんな山でも一つ間違えば
遭難する事を教えてくれる1冊。一気に読める。
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角川文庫(2003) TBSブリタニカ(現:阪急コミュニケーションズ)(1999)
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